浦和くらしの博物館民家園

民家園とは
さいたま市内に残る伝統的な古建築を移築復原し、あわせて民俗資料を収集、保存、展示する施設を持つ場を作り、これらを公開するとともに、伝統行事を催し、伝統文化の保存伝承につとめ、市民文化の向上発展、郷土意識の高揚をはかることを目的としています。
さいたま市指定有形文化財(建造物)
           
旧野口家住宅
             
平成10年3月10日指定
この住宅は、浦和市大谷口の野口家から浦和市が寄贈(ゆずり受けること)を受け平成10年度、移築(場所を移して建て直すこと)復原したものです。野口家は、代々旧大谷口村の安楽寺の住職(お坊さん)をつとめた家で、この建物は庫裏(住職の住居)として使われていたものです。同寺は明治初年に廃寺(寺がなくなること)になり、旧所在地に移され同家の母屋として使用されていました。
この地方の典型的民家の特徴である茅葺き寄せ棟造り、平屋建となり、桁行き13.64m、梁間8.1m、棟高8.7mで、田の字型四間取りとなります。南側及び西側に廊下をつけています。
建築年代は、床の間床板から、1858年(安政5年)の墨書が確認され、この時期またはそれ以前の建立と考えられます。背が高く、せがい造りによる深い軒の出と大きな屋根を持った優れた意匠となっています。また、寺院の庫裏であるにもかかわらず、この地域の民家の様式がそのまま見られ、当時の歴史的背景など資料価値の高い建物です。
さいたま市指定有形文化財(建造物)
                            
旧武笠家表門
             
平成6年4月28日指定
この門は、浦和市三室の武笠家から寄贈を受けたもので、平成6年度に移築復原したもので、寄せ棟、かや葺きの長屋門(江戸時代の武家屋敷などで、長屋の一部に門を開いたもの)で正面13.76m(7.6間)、側面4.55m(2.5間)です。中央の間を戸口とし、右端の一間を仕切り床張りとしている以外は、土間となっています。正面中央の2本の門柱は平角で門構えをつくっています。通例の長屋門に見られる「立ち隠れ」(門構え部分が中に入り込む)はなく、また、門扉が両開きの引き分け戸で、右側の戸に潜り戸がついています。
武笠家では正規にこの門を開くのは、冠婚葬祭の特別の日に限られ、日常は別にあった通用門を使いました。
この門は長屋門の役割を備えながら、作業場となる広い土間をもち一農家の生活に即した機能性の高い建築といえます。
土台がなく地覆(蹴込み土台)であることや梁の仕上げ、小屋組みなどから江戸時代後期と考えられ、市内でいくつか例の見られるこの形式の代表例です。
登録有形文化財
   
旧浦和市農業協同組合三室支所倉庫
                           
平成9年7月30日登録
この倉庫は、栃木県小山市内で大正8年にかんぴょう問屋の倉庫として建築され、昭和31年に浦和市農業協同組合の倉庫として使用されていたものです。これを浦和市が寄贈を受け平成6年度に移築復原しました。
大谷石土蔵造りで、間口27.27m、奥行き7.27m、高さ9mで、トラス小屋組の寄せ棟で屋根が瓦葺きとなっています。内部は中央で仕切られ二部屋となり、それぞれ均整のとれたアーチ形の入口が設けられています。市内では農業協同組合の倉庫として数棟知られていますが、この倉庫は年代も古く建築技術も立派であり、登録有形文化財となっています。
さいたま市指定有形文化財(建造物)
                  旧蓮見家住宅
                        
昭和49年5月31日指定
この住宅は、浦和市井沼方の蓮見家から寄贈を受けたもので、平成5年度に移築復原したもので、直屋、平入り、寄せ棟のかや葺き農家で、広間形三間取というこの地方の典型的な古民家の特徴を持っています。シシマドとよばれる格子窓がつくこと、土台がまわらず柱が直接礎石上に立つこと、柱の断面が正方形でなく、また、太さが不ぞろいであることなどは、古い特徴といえます。大黒柱にあたる柱も、やや太めですが、他と同じスギ材を用いていることも時代色を示しています。
建立年代は明らかではありませんが、江戸時代中期と考えられ現存する市内最古の民家といえます。
       旧中島家穀櫃
この穀櫃は、浦和市三室の中島家から寄贈を受けたもので、平成6年度に移築復原したものです。穀類を保存する穀櫃で、間口2.94m(1.6間)、奥行き1.16m(0.64間)ほどの寄せ棟、かや葺きの小建築です。礎石上に土台をまわし、柱を立て長押と貫で固め、柱上に出桁を架けています。三等分に仕切り、開口部は落とし板各6枚を重ね、天井の蓋板を差し込み錠をかけるようになっています。間仕切りも落とし板であり、両側面と背面は横嵌板となっています。多湿のときは木が増え密封され、また、乾燥期にはすき間ができて、通気性が良くなるなど穀物の保存に適したつくりであることが注目されます。江戸時代の郷蔵などもこのようなつくりのものが多く、この地域に広く行われた貯穀方法を知る建物といえます。

常設展示・季節展示を見る

昔の暮らし、風俗について建造物など実際に見たり、内部を見たりすることができます。貴重な資料といえましょう。

資料 浦和しらしの博物館民家園要覧


back